いろりばた 観望庵(髙島秀行)

今年の流行語大賞は「忖度」かもしれないと思うほど、世の中「忖度」「忖度」とかしましい。かてて加えて「ご意向」があったとか、なかったとか。

忖度とは広辞苑によれば、「他人の心中を推し量る事、推察。」とあり、立派な大和言葉である。あーでもない、こーでもないと五月蠅く議論する事を否定はしないが、忖度はむしろ美徳であり、潤滑油である。一時復活した「思いやり」に通じるところがあると思う。

特に、組織、チームにおいては、リーダーや司々の思いを忖度し、その方向で動くことでまとまる。もとより、ルール違反は論外であるが。世の中相当部分、忖度により円滑に動いている事は間違いない。

「ご意向」も似ている。忖度しない輩に、「誰某のご意向である」と言って何が悪い。異論があれば「お言葉ですが…」と反論すればよい。それもしないで、後から、それをいかにも、悪代官の言質をとったかのように、イチャモンをつけるとは、武士(もののふ)に非ず。その時に反論できないようでは、社会勉強のためキャバクラに行った、と開き直っても片腹痛い。

いずれも内閣と官僚間の軋みである。日本の官僚は、概して他国より有能である、と言われる。確かに、昨今、不倫とウソで狙い撃ちされることの多い政治家よりも安定的に有能かもしれない。が、この件が、官僚一般に及ぼした風評被害は、軽くない。

話は飛ぶが、「お気持ち」に端を発した天皇陛下の生前譲位問題も、古代史には一家言ある観望庵にはいささか釈然としない。一つ、「お気持ち」はお気持として、何故「お言葉ですが、、」と異論を唱える国士がいなかったのであろうか。

誰もが、お気持ちを忖度して、世の中の定年風潮に流された。生涯現役を唱え、実践された、故日野原先生もいらっしゃる。いま一つは、有識者会議は、皇室の御世継ぎ論に係る皇室典範の見直しにも踏み込まず、一体数か月間何を議論していたのか。小泉総理時代の有識者会議は、悠仁親王ご誕生で、もっけの幸いと途中解散はしたが、もっと真剣に議論はされていた。げに、怪しげなる有識者会議よ。

髙島秀行

 

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