いろりばた 観望庵(髙島秀行)

新聞によれば、昨年10月現在で、58ヵ月間の好景気の長さは戦後2番目の長期と言う。デフレ脱却もままならぬ中で、ほんまかいな、という気がしないでもないが、そのこと自身に難癖をつける気はない。

昭和41年11月から昭和45年7月まで57ヵ月続いた「いざなぎ景気」を抜いた、という事である。この時、カラーTV、クーラー、自動車の新三種の神器が景気を牽引したと言われている。3Cとも言われた。思えば懐かしい、サラリーマンの働き甲斐と家庭円満が目に浮かぶような時代であった。

しかし、この時、橋本総理の下、魔の赤字国債に初めて手を出した。勿論、税収増は景気の後からついてくるので、景気を良くしてそれで返せば良い、と考えられたものであろう。しかし、次年度以降の予算編成で悪魔のささやきに抗しきれず堰を切ったように毎年増加し、何と今やこれが積り積もって、GDPの2倍を超え、財政健全化の極めて難しい現在を招来した、功罪半ばした景気であった。

それまでの、神武景気(昭和30年~)、岩戸景気(昭和36年~)は自力で景気を良くした。いまや毎年の赤字国債は新規の建設国債というよりも利子の支払いのためと言ってよい。

ところで戦後一番の長期の好景気は、平成14年からの73ヵ月の「いざなみ景気」であるが、従来の、神武、いざなぎ景気のようなインパクトがなかったせいか、公式に「いざなみ」という表現は憚られた。

今回の長期景気も多分名前はつけない、つけられないのではないか。

古事記の有名な神々になぞらえる、神武景気から、天の岩戸(天照大御神)、いざなぎ、いざなみ、ときては、次は須佐之男命、中つ国を統一した大国主命とかが考えられるが、果たして現下の状況に相応しい神々が、坐すだろうか?

髙島秀行

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