いろりばた 観望庵(髙島秀行)

昨年の最大の話題は新型コロナだった。

一隻のクルーズ船から始まったコロナは、瞬く間に日本中に広がった。治療薬がない上、コロナの素性や能力が分からない。そのため、何でも自粛で経済活動は停滞し、仕事が無くなれば、社会も家庭も持たない。コロナの死者よりも、自殺者の方が多いとも。それでも、世界的には桁違いに影響が少なく、ファクターXは謎である。東南アジアや台湾も少ないので、人種的、或は島国効果かもしれない。

しかし、約百年前の一九一八年~十九年、世界中に猛威を振るったスペイン風邪は、僅か二年で、日本だけでも四五万人、世界では二千五百万人以上の死者を出し、まさにパンデミックであった。日本には、台湾遠征の力士三人が持込み、それが瞬く間に広がったらしい。世界の死者は第一世界大戦以上なので驚きである。

当時の新聞を見る限り対策は今とあまり変わらない。即ち、マスクに手洗い。これだけ医学も、戦争の武器も進歩しても、対ウイルス戦に対しては殆ど進歩がないのは嘆かわしいことである。ウイルスは果たして「生命体」なのか疑わしい。スペイン風邪は何故二年で終息したか? 言えば憚られることなので誰もいわないが、今回もそれでは困る。早く安全なワクチンと製薬が出来て貰わないと困る。

その昔、藤原京から平城京へ遷都し、数十年後に平安京に遷都した原因の一つは、伝染病対策であったらしい。歴史的には、遣唐使、朝鮮通信使などの交流がもとで、疫病は流行ったのかもしれない。江戸時代、大きな疫病が流行らなったのは鎖国のお蔭かも知れない。

さわさりながら、この異常事態のせいで、良い社会現象が起こった。一つはオンライン活用のテレワーク。会社のみならず学校、地域コミュニティまで使い出すいい慣例ができた。お蔭で電車も随分空いている。これで用が足せるなら過密ダイヤもなくなり、文字通り三方一両得だ。

そして、何よりも驚嘆すべきは、東京都の人口が五四万人減少したと言う! また政府は、都会を出た人には100万円乃至200万円出すという。地域分散への実弾作戦だ。首都圏分散、地方創生といいながら十年以上、念仏に近かったが、それがコロナのお蔭でいささかでも前進するのかもしれない。

(観望庵)

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