寺倉 修

(1)
「設計力」こそが品質を決める-デンソー品質を支えるもう一つの力
日刊工業新聞社 初版2009年、第7版2017年著者 
株式会社ワールドテック 寺倉 修

2009年にこの「設計力」に関する書籍(日刊工業新聞社)を上梓し、その重要性を世に問うた。当時は「現場力」という言葉はメディアなどで頻繁に取り上げられる一方で、「設計力」という言葉については、ほとんど目にすることはなかった。それからしばらく時が経ち、最近はようやくこの「設計力」という言葉も徐々に浸透してきた。“市民権”を得たようで心強い。
だが、世間がいう設計力と、私がいうところのそれとは「同床異夢」の感がある。世間が考える設計力は、例えば3DCADやCAEなどのツールが優れることをイメージしたものが多いように思う。一方、私がいう「設計力」は‘お客様からのニーズを、モノという形に具現化出来る情報に置き換える活動、その活動をやりきる力’のことである。
今日、地球からはるか遠くのごく小さな惑星から岩石を持ち帰ることも可能なまでに科学技術は進歩した。もし、人・もの・金を投入し、かつ、時間を十分にかけられるものならつくれないモノがないほどだ。しかし現実はそうではない。自動車のモノづくりも、一般に経営資源は必要最小限、限られた時間の中での活動となる。
ところで、国土交通省への自動車のリコール届出数は毎年200~300件で推移している。この現実は、進歩した技術があるだけでは(厳密には職場に潜在的に技術があっても)限られた経営資源と時間の下で行われる大量生産品の品質確保には対応しきれないことを示唆している。すなわち、技術は品質確保の必要条件ではあるが、それだけでは十分条件とはなり得ない。その十分条件としてこの本で取り上げる「設計力」がある。

(2)
「設計力」を支えるデザインレビューの実際
日刊工業新聞社 初版2014年、第4版2017年著者 
株式会社ワールドテック 寺倉 修

日本のモノづくりを支えてきたもの、その一つは「現場力」である。そして、「設計力」もまた現場力と同様に重要な役割を担ってきた。この「設計力」については、2009年に‘「設計力」こそが品質を決める’(日刊工業新聞社)として上梓し、その重要性を世に問うた。
この本は、さらに多くの設計者、および企業が設計力に取り組むことを狙い、第二弾として‘「設計力」を支えるデザインレビューの実際’を著したものだ。
デザインレビューは、本署で述べる‘7つの設計力’の一つであるが、他の6つの設計力を高め、伸ばす役割を担っており、設計力全体を大きく左右する重要な活動に位置づけられる。
それゆえ、本書は、設計力の中からデザインレビューを切り出して取り上げている。お客様のニーズを図面として後工程に流すまでの設計段階における活動、すなわち設計プロセスに組み込まれた体系的な活動としてデザインレビューを捉えた。したがって、お客様のニーズ、それを踏まえた機能、性能、コストなどの設計目標値、その対応方法、詳細設計、安全設計、品質評価など設計段階のすべての開発課題が対象となる。つまり、デザインレビューの取り組みが、図面のレベルに大きく影響し、設計段階でのアウトプットを左右するのである。設計力とデザインレビューは表裏一体の関係を持つ-ここにデザインレビューの重要性がある。
今後、車はもちろん、モノづくりは一層高機能化、複雑化が進むであろう。当然、より多くの開発課題への取り組みが必要となり、ますますデザインレビューの重要性は増していく。
本書は、デザインレビューは設計力を構成する重要な要素とであると位置づけ、「設計力とデザインレビューはどのような関係にあるか」、「設計プロセス(手順)の中でデザインレビューはどのように行われるか」、「デザインレビューでは何を議論するのか」、「デザインレビューでは何を準備するのか」など具体的に解説している。
最終的に「デザインレビューをやって良かった!」となるためには、粘り強い取り組みが必要だ。山積する課題の中で、それでも諦めずに取り組み続けるならば、デザインレビューのレベル、ひいては設計力のレベルを向上させることができる。
本書が、デザインレビュー向上の一助となれば幸いである。

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