「“日本的経営”をグローバル時代に活かす」  中村 芳房

 “三方よし”に代表されるCSR的な視点を持った経営と“長期的な視点での経営”、この二点がいわゆる“日本的経営”と理解されているように思う。 ここで、売り手、買い手、世の中が三方だが、今風に言うステークホルダーでは一般に、(経営者)、従業員、株主、顧客、社会である。昔の“日本的経営”の会社では経営者=出資者であることも多く、株主やプロ(雇われ)経営者の概念は希薄であったと思うが、現代では意識しないわけにはゆかない。
 世の中≒社会に対する配慮は間違いなく“日本的経営”の優れた点であり、それは経営者(達)の信念=ポリシーに支えらており、また日本市場もそれを評価する土壌があったのだと思う。
 “長期的な視点での経営”には長期的に継続される信念が先ず必要である。三方よしを貫くためにもコミュニケーションによるステークホルダーとの緊密な意志(ポリシー)の共有が必要である。この共有が日本的経営の一つの鍵であると思う。

 昨今、世界で評価されている優良企業は環境対応、ブランドに優れ、主張のある経営者がいる。「信念を持ち、三方よしを旨とした長期視点を持つ経営」を“日本的経営”とするならば、実は“日本的経営”を体現しているようにも思える。
  “日本的経営”が戦後の急成長を支えたのは間違いないが、今、その意味で日本企業にはかつての勢いがないように見える。 基盤を支えていた創業者が2,3代目に代りポリシー自体があいまいになり、会社規模も大きくなって、その浸透・共有も難しくなったことがあるのではないだろうか。加えて三方よしを評価していた日本のステークホルダー達も変化しているのかもしれない。だから長く継続している会社は比較的小さな会社が多いのだと思う。

 更に経済のグローバル化で文化を異にする海外が主戦場となってきた。ポリシーや戦略にあいまいさを残したままの取組み、あるいはそれを共有する努力を欠いた経営では異文化の下、海外拠点、お客様、投資家に肝心の信念が伝わらず、また自らもそれを守り切るのが難しくなって“日本的経営”としての“三方よし”や“長視点を持つ経営”を一貫しておこなうことが難くなってきているのではないだろうか。

 これからも国内市場でそこそこの規模で、きちんと信念を持った経営であれば、“日本的経営”の良さは自然と出るし、生きると思う。 同一文化で規模も小さい日本市場では、あいまいさを残していても、従業員はもちろん、市場にも理解されるので、その範囲にとどまる限り、信念さえあれば特別な施策を打たなくとも、それを共有することは可能と思う。
 一方、規模も大きくなり、グローバルな活動が前提になった場合、明確なポリシーと、それを共有すること、即ち“ブランド”を作る努力と“戦略”の共有を意識して、経営することが“日本的経営”を実践し、良さを生かすグローバル経営につながるのではないだろうか。

中村 芳房

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