東京工業大学「CUMOT×STAMP 連携プログラム」新規事業の開発・導入から発展へ、Suica実用化プロジェクトの例

講師:井上 健
元 東日本旅客鉄道株式会社 常務取締役
現 技術経営士

東京工業大学が開催している「CUMOT×STAMP 連携プログラム」において、2021年1月12日、「新規事業の開発・導入から発展へ、Suica実用化プロジェクトの例」と題し、16名の受講生を対象にオンライン講座を開催した。

 

1.乗車券用ICカードは1985年頃、開発を開始、2001年に実用化!

JR東日本発足以前である1985年頃の国鉄時代、鉄道技術研究所の一人の研究者が、鉄道乗車券用ICカードの開発を始めていた。ところがJR東日本は1987年の発足後、早急に駅業務の効率化に取り組むため、ICカードではない磁気式自動改札機の導入を決定した。ICカードシステムの開発者達は、取り残された感があったが、諦めずに磁気式自動改札機の後継システムとなるべく開発に努力を重ねた。思った以上に時間がかかり、開発に着手した国鉄時代から数えて15年余りを要した2001年にやっと実用化にこぎつけた。

 

2.社会インフラとして発展し続けるSuicaの成功の鍵は何か?

その後、全国共通ICカード乗車券として展開するとともに、電子マネーとしても利用が拡がり、電子決済における社会的インフラとしてさらなる発展を続けている。このプロジェクトを通して、成功の鍵は何か、新規プロジェクトに取り組んだ苦労も披露する。新規事業の開発・導入において、事業者側からのニーズに対して、利用できる技術はないか、新たに開発すべきものは何か。そして、事業戦略、実現するための経営資源、推進体制のための人材確保、工程管理とプロジェクト管理になどについて述べた。

 

3.プロジェクト成功の鍵

講義後半の討議のテーマとして、プロジェクト成功の鍵である下記の3点について、議論した。

  • 企業の経営戦略との関係で、新規事業をどのように選定するか。また、新規事業

の開発とその事業性をどう評価するか。

  • 実現するための経営資源をどのように評価し、準備できるか。推進体制のための

人材をどのように集めるか。工程管理とプロジェクトリスク管理をどのように行うのか。

  • 新規事業開始後の運営体制をどのように計画・構築するか。事業のその先の展開を図るために何をすべきか。将来的に新規事業に挑戦する人材をどのように育成するか。

 

最後に…

最初に講師から50分ほど話をした後、40分余り10数件の熱心な質疑応答が行われた。質問の中には、「長期間諦めないで持続させられたのは何か」というものがあり、「トップの理解のもと、電子乗車券を成功させるためのプロジェクトリーダーによるマネジメント能力により10年間持続できた」と回答し、「電子マネーで成功した秘訣は」という質問には、「設備投資の基幹を鉄道部門の資金で負担できたため」と答えた。ネット講義ではあるが熱気を感じた。

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