信州大学総合理工学研究科 「STMP経営者から学ぶ技術経営-経営の現場~組織をリードする-」

講師: 中村 房芳
元 ㈱IHI代表取締役副社長
現 技術経営士

 

2021年6月17日、信州大学工学部長野キャンパスにて、「経営の現場~組織をリードする」と題して、17名の学生に講義を行った。

組織をリードするには、根底にあるのは人=リーダー、そして実行すること

日々、経営を行う場面を「経営の現場」と称している。 「経営の現場」で重要な視点、考え方、取組を伝えるのが講義の目的であるが、 その中で比較的実感を得やすいと思われる「組織をリードする」を切り口に説明した。

組織をリードする基盤であるのは人(リーダーの人格)であるが率いる組織が大きくなればなるほど人の能力の中でも、人格、教養といった基盤的な能力が重要になり、相対的にはスキル・知識のようなものは軽くなる。 そういった立場につく年齢になってからでは遅いので、若いときから基盤的な能力を継続的に磨く必要があり、自らの姿勢、環境を意識することが重要である。

リードする5つのパターンについて

組織をリードするパターンの第一は戦略によるものである。 紙に書いた戦略が使われる場面は数えるほどである。 戦略の本当の価値は組織メンバーの頭の中に常在し日々判断の規範となることで発揮される。 その作り方を一般化することは難しいが、出来の良し悪しは“目的と整合しているか”など5つの視点からチェックすることで一般化した判断が出来る。

仕組みづくりは戦略を実現していくためのものである。“気づき”、“考え”、“実行する”という一連の活動、言わばPDCAを個人の能力に頼らず組織として自働化するのが本質的な目的である。

また、指標をうまく設定することで、リーダーが全てを指示しなくともメンバーが自律的に判断できるようになり、メンバーの努力が目標達成につながるようになる。

一方、日々想定外のことが起きるのが経営の現場であり、危機対応は経営そのものとも言える。リスクには3段階ある。第二段階、即ち小さな問題は起きているがまだ組織としては許容範囲である段階で如何に対処するかがリスク管理のキーとなる。 その為には危険予知(“問題・課題を認識し”、“その先のリスクを想定し”、“被害の甚大さに慄くこと”)の能力を組織として高めておくことが重要である。危険予知が出来ていれば早く、十分な危機対応が出来るようになる。

組織が目的に向かって効率的に動くように外部環境を整える(対外的に交渉する)のが第5のパターンである。 この交渉では相手とその背景を良く理解していることが重要である。 日本人の交渉役は、往々にして感情障壁と本音を混同することがあり注意を要する。その意味では“本音”よりも“建前”に交渉の本質があると考えた方が良い。

最後に…

実際の講義の中では、リーダーとして考えて欲しいこと、やり切ることの大切さを伝えたいと思い、自分の実体験を多く織り交ぜながら話をした。久しぶりに受講生の反応を実感しながら話が出来、対面講義の良さを改めて感じた。「自分なりの問題を探しての危険予知と対応」という命題に対して、講義後に欠席者も含め21名からのレポートを受け取った。様々なケース設定であったが、概ね自分なりによく考えてケーススタディーをしてくれていたので、講義の意図がある程度伝わったのではないかと思っている。

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