2020年度お茶の水女子大学「プロジェクト特論」―情報通信政策の今昔と今後の展望―

講師:寺崎 明

元 総務審議官(元 総務省技官)

技術経営士

 

「情報通信政策の今昔と今後の展望」と題し、2020年5月13日、お茶の水女子大学において、30名近くの院生を対象にオンラインにて「2020年度前期プロジェクトマネジメント特論」を開講した。

 

国営からスタートした電信電話事業の歴史を概観

1985年、独占だった日本電信電話公社は民営化され、通信自由化の火蓋が切られた。それ以降、35年にわたる通信事業の歩みを、主要電気通信事業者の売上高の状況、通信サービスの契約者数の推移、国内通信業界の変遷、情報通信を取り巻く環境の変化などの観点から説明した。

当時、多くの企業が通信事業に参入したが、年月の経過とともに、現状では、①NTTグループ②KDDIグループ③ソフトバンクグループに集約されてきた。最近、楽天が新しく携帯サービスに参入してきたが、新しく通信事業を始める楽天について、ネットワークを造る膨大な経費の獲得、インフラ事業を行う覚悟と胆力が課題であることについて解説した。

 

既存携帯電話事業者の実態を検証

消費支出における通信費の割合、携帯電話通信料の国際比較、既存携帯電話事業者3社の業績について概観。また、各業種別の売上高営業利益率などを短時間で説明。さらに、スマートフォン出荷台数(2018年)について、アップル端末シェアは、国内では47%、世界では15%(世界ではサムソンがシェアトップ)であり日本市場の特異性について言及した。

 

総務省で進めているモバイル市場における競争の促進の考え方を概観

モバイル市場における競争の促進に関して総務省で進めている考え方のポイントは①料金・サービス本位の競争への転換②乗り換えの円滑化③新規参入の促進である。ここでは、SIMロック解除の意義、MVNOの促進(接続料の見直し等)について、最近の電気通信事業法の改正も含めて解説した。

 

最後に…

日本のICT投資額の伸びが米国、フランス等に比べて相当低いことを説明。また、新型コロナ騒ぎを起点にテレワークなど自宅勤務に結び付けて業務効率のアップにつなげ欧米に追い付くチャンスでもあること、この状況は女性の働き方にもインパクトがあることを話した。

講義後、学生から講義に対する感想が23件、講師への質問が15件寄せられた。オンライン講義であったため学生の表情は読み取れなかったが、しっかり聴講した様子がうかがえた。スマートフォン出荷台数(2018年)について話す中で、日本市場の特異性について言及したところに学生から驚きがみられた。また、携帯電話の料金の話、会社の「時価総額」や「利益率」などの話をいろいろなデータを示して講義したが、理系の学生には面白く見えたようであった。「身の回りにあふれている様々なトピックについて、そのバックグラウンドや大まかなお金の流れ、制度、海外との比較などの様々な視点で考えることは自らの考えを整理したり、問題解決能力の向上に役立つ」という感想が挙がり、授業の甲斐があったと感心した。

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