2020年度お茶の水女子大学「プロジェクト特論」 ―新規事業プロジェクトの面白さ―

講師:井上 健

元 東日本旅客鉄道株式会社 常務取締役

現 技術経営士

③ ジャーナルタイトル:「新規事業プロジェクトの面白さ」

「電子乗車券Suicaから始まった電子マネーインフラへの展望」と題して、2020年6月10日、電子乗車券Suicaの開発について、22名の学生を対象に、お茶の水大学の講義室よりWEB会議システムを使用して話をした。

まず、NHK番組のプロジェクト-X「執念のICカード16年目の逆転劇」(2005年11月1日放映、抜粋約5分)を鑑賞する。講義で取り上げる内容は、ICカードの研究に始まり、電子乗車券(Suica)システムの導入、さらにそれを活用した新規事業展開についてである。

開発のきっかけ

JR東日本発足以前である1985年頃の国鉄時代の鉄道技術研究所の一人の研究員は、鉄道乗車券用ICカードの開発を始めていた。ところがJR東日本は、発足後駅業務の効率化に早急に取り組むため、磁気式自動改札機導入を決定した。Suica開発者達は、取り残された感があったが、しかし、諦めずに磁気式自動改札機の後継システムとなるべく開発を進めた。思った以上に時間を要し、国鉄時代開発に着手してから15年以上を要し、2001年やっと実用化にこぎつけた。

実用化以降の発展

その後、全国的にICカード乗車券として拡がるとともに、電子決済における社会的インフラとしてさらなる発展を続けている。このプロジェクトを通して、成功の鍵は何か、新規プロジェクトに取り組んだ苦労も披露する。新規事業の開発・導入において、事業者側からのニーズに対して、利用できる技術はないか、新たに開発すべきものは何か。そして、事業戦略、実現するための経営資源、推進体制のための人材確保、工程管理とプロジェクトリスク管理になどについて、触れる。

プロジェクトへの参画

将来、学生の皆様が、実際に新規プロジェクトに参画する機会もあると思う。それを成功に導く努力と体験は、苦しいが実になると思うので、自ら提案してプロジェクトに参加する機会を作り出し、「挑戦心」を持ち続けて欲しいと願っている。

 

最後に…

講義後書面で感想と質問が届いた。今では当然のサービスとなっているSuica実用化には、多くの困難のあることが分かった。と同時に、誰でも当たり前に使えるものが社会的インフラと言えるものと理解した。いずれ大きなプロジェクトに参画したいという感想が見られた。質問では、ICカードは国産技術か。開発中から社会的インフラを目指していたのか。また、もっと使える地域を増やして欲しい。タッチレスで使いたい。新幹線のチケットもSuicaにして欲しい。など多くの要望・期待が聞かれた。

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