講師:宇治 則孝
元 日本電信電話株式会社副社長、テレワーク推進フォーラム会長
現 技術経営士
標記のタイトルで、2020年7月1日にお茶の水大学でオンライン講義を行った。
その内容の主なポイントを以下に示す。
- NTTグループの進化とICT利活用の促進
電電公社からNTTへの民営化、NTTデータの分社と法人(産業)分野の事業拡大、NTT持株での「サービス創造グループ」の展開など、小生の経験した企業人生とNTTの歩みを絡み合わせ、NTTグループのダイナミックな進化を説明した。
経営環境の変化に伴う経営戦略の変遷と事業構造の改革、NTTが担ってきた技術革新の歴史と今日のNTT R&Dの目指すものなどに触れた。
NTTデータで法人分野ビジネス拡大と全社売上1兆円を目指しての成長戦略や、NTT持株でのクラウド戦略に加え、ICTの利活用が如何に社会の発展に向けて重要かを当時の記事なども参考に説明した。
また、ICTの持つ「つながり力」「見える化力」「横串機能」の重要性も力説した。
- 働き方改革とテレワーク
これからは、「ICT」「グローバル」「ダイバーシティー」が重要な3つのキーワードであるとした上で、この3つに関連する「テレワーク」を充分理解してほしい。
働き方改革は、国にとっても、企業にとっても喫緊の課題であり、テレワークはコロナ以前から働き方改革にとって、重要なソリューションである。テレワークが進展してきたのは、働き方に関する世の中のニーズの拡大と共に、ICTの進化が大きな要因であり、幾つかの事例も紹介した。
今年のコロナ禍で、テレワークの認知度も活用度も急速に拡大したが、コロナ後をにらんで、
新たな働き方を模索することになるであろう。
デジタルトランスフォーメーションと働き方改革が、連携して進むと思われる。
- 今後に向けて
新しい事業の方向性として、「ICTの持つ創造と革新の力」「〇〇×ICTの展開」「AIやIOTなどの新技術の活用」がポイントであり、社会的課題の解決に向けても、デジタルトランスフォーメーション(DX)が重要になる。
変化への対応力が今後も必要であり、「唯一生き残るのは変化できるものである」というダーウィンの言葉を引用して講義を締めくくった。
講義を終えて
オンラインを活用した講義で、テレワークを論じるというまさに、それ自体がリモートワールドそのものであり、実感をもって、かつ大変熱心に聞いてもらえたようである。
就職するときには、働き方改革を重視する会社を良く見極めなさいともアドバイスした。
多くの感想の中では、「時代の変遷と関連した一つの会社(NTT)の大きな変化」、「ICTが色々な分野に影響を及ぼすこと」、「ICTの持つ様々な可能性」「テレワークは働き方のパラダイムシフトである」、「コロナ禍におけるテレワークの有用性」などに関心をもってもらった。
また、「コロナ後もテレワークは使われていくのか?」「コロナ禍が無くてもテレワークが進展したのか?」「ICTを上手く使える人(会社)と使えない人(会社)との格差は?」「テレワークにおけるセキュリティーの問題は?」「オフィス以外の場所でまじめに働いているのかわかるの?」など数々の質問が寄せられた。
今後、新しい日常の中で、テレワークが「当たり前の働き方」として、更に浸透していくよう活動を推進しているが、学生の皆さんにも、ポジティブに受け止めてもらい、新しい時代に向けて力強く感じた次第である。
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