2020年度お茶の水女子大学「プロジェクト特論」 新規計画立案の仕方とプロジェクトマネージメント

講師:本間 正修

元 宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事

工学博士

現 技術経営士

 

「新規計画立案の仕方とプロジェクトマネージメント」と題して、2020年7月15日、お茶の水女子大学にて講義を行った。講義はオンラインにて、21名の参加者を対象に実施した。

 

講義概要:

新しく何を行うかという目標設定は極めて重要である。その仕方は分野により様々であろうが、共通点もあると思われる。また、計画をいかに確実に成功に導くかという観点から、プロジェクトマネージメントをどう行うかが決定的に重要である。この二点について、宇宙開発における具体例を提示した。

はじめに、講演者が企画に参画しその後プロジェクトマネージャとして担当した大型の人工衛星(ETS-8)について、計画策定にあたって行われた関係省庁、研究機関、企業、潜在ユーザの要求を一つにまとめるプロセスを紹介した。そして、10年間にわたる開発で、プロジェクトマネージャとして遭遇した様々な課題への対処について、リスク管理の面を中心に述べた。

もう一つの具体例として、講演者自身のアイデアを小型実証衛星(SLATS)として実現させ、世界初の技術を実証するまでのプロセスを紹介した。その資金規模はETS‐8の10 分の1以下であり計画の進め方は大きく異なり、小規模プロジェクト固有の難しさがあった。しかしそれ以上にアイデアを計画として具体化する自由と楽しさがあることを示した。

最後に、JAXAにおいて新規プロジェクトの移行可否を評価する5項目と、講演者が考えるプロジェクトマネージメントの要件を示した。

 

伝えたかったこと:

講義で説明した二つの例は、人工衛星の規模で言えば両極端であり、大方の計画はこの二つの間に位置づけることが出来ると言えよう。聴講者が将来いろいろな業務に携わる際、それぞれ分野固有の価値観や制約などのもとに新規計画を策定する機会があると思うが、その参考となれば幸いである。

またプロジェクトマネージメントについては、体系的に業務を進めることが基本である。リスク管理にあたっては、自己の直観を信じることも大切である。いずれの局面においても各人が広い視野と深い専門性の両方を持つことが求められ、学生時代から素養を築く努力をするよう期待する。

 

講義を終えて・・・

講義後、メールで感想と質問が寄せられ、学生はM1からD2までいたことが分かった。感想は、初めて人工衛星開発の話を聞いて興味を持ったこと、プロジェクトマネージャの仕事の内容について理解したこと、大きな計画を進める中でも個人のアイデアや直感も大切であることに感銘を受けたこと、など多岐にわたっていた。

質問は13名からあり、講義の要点をつかんだ良い質問が多かった。また、M とDの学生からの質問内容から、学年による問題意識のあり方の差異が感じられ興味深かった。リモートでの講義は初めての経験であったが、何とか話が通じたのではないかと感じた。

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