2020年度お茶の水女子大学「プロジェクト特論」―技術に立脚した経営 新規技術が未来を変える―

講師:神永 晉
元 住友精密工業株式会社代表取締役
現 技術経営士

 

2020年7月22日、お茶の水女子大学プロジェクトマネジメント特論講座にて、「技術に立脚した経営 ― 新規技術が未来を変える」のタイトルで講義を担当した。私にとって3年目となる今年の講義は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、講師のみが教室に出かけ、約30名の院生を対象にオンライン授業で実施された。講義概要は次の通り。

 

  • IoT (Internet of Thingsモノのインターネット) の出現をもたらした新規技術

昨今注目を浴びるIoT (Internet of Thingsモノのインターネット) 世界の出現を可能にした微小センサは、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems 微小電気機械システム)と総称される微小デバイスの中心的位置を占める。そのMEMS発展の原動力である微細加工技術の研究開発から事業化に至る数十年の歩みについて、その推進者である講師自身の経験を紹介しながら、新規技術がIoT世界を生み出したが如く、技術が世界を変えるために必要となる経営戦略について論を進めた。

 

  • 中長期的視点による研究開発から事業化さらに産業化へ

人々の幸せな生活を実現する社会を構築するためには、中長期視点で、新規技術の研究開発に投資し、事業化さらには産業化を目指すことが重要であり、そのためには、単なる「技術開発」のみならず、新規技術を社会へ実装する「技術経営」との両輪が求められる。企業経営の目的は、新規技術の社会への実装によるイノベーションにより、高齢社会、飢えの解消、防災/減災等の、世界が直面する課題を解決することによって、社会に貢献することにあることを強調した。

 

  • イノベーションを担う人材/人財 - 企業家精神

イノベーションを生み出すためには、それを担う人材/人財が重要であることは論を俟たない。戦後の日本が、戦後復興から高度成長を成し遂げた後、バブル崩壊を経て、失われた10年、20年、30年と凋落した現状を踏まえて、日本人としてやるべきことは、中長期視点でビジョンを構築し(時間軸)、グローバル視点で日本人の持つ強みと良さを世界に発信し(空間軸)、人間としての道義・正義に基づいた行動(人間軸)を通じて、自分は何をしたいか、何をもって社会に貢献したいかという企業家精神により、イノベーションを生み出すことの重要性が講義後半のポイントであった。

 

  • 最後に

例年同様、講義直後に質疑はなかったものの、数日内に、受講生全員から質問とコメントのメールが届いた。新規技術の開発もさることながら、その技術を社会に実装することが重要であるという講義のポイントは広く理解されていた。さらに講義の最後に言及した、新型コロナウイルス感染拡大の中で、新規技術・先端技術は世界のトップレベルにある日本が、その社会実装については世界レベルに圧倒的に遅れていることが露呈したことについても、受講生にとって大きな気付きであることが確認できた。

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