㈱ワールドテック 寺倉修
第二十九回 設計のプロフェッショナルとは
-持てる力を最大限に発揮し続ける
「あなたは設計のプロフェッショナルですね」と問いかけられたら何と答えますか。今回は、「設計のプロフェッショナルとは、あなたのこと」を取り上げます。10年あまり前になりますが、NHKの「プロジェクトX」という番組で、燃料電池車(FCV)の開発を取り上げていました。番組では開発に必要な「思い」を、さまざまな場面と絡めて紹介していました。
「新しいことはしんどい、いばらの道だ。しかし、夢を忘れるな/さまざまな課題の答えは自分たちで見つける/こだわり、もっと良くしたい/突き抜ける思い。その思いをものに…」
全く違和感のない言葉(思い)でした。さらに、その番組の最後に出演者が発したフレーズ。「プロフェッショナルとは、信念を持ち突き進み夢を実現できる人たち。どんなに厳しい困難な条件でも結果を出す」。このような、素晴らしい思いを日々持って、取り組みたいと感動したのです。
プロフェッショナルという言葉を聞いて、自分には関係ないと思う設計者がいるかもしれない。そうだとすると、プロフェッショナルとは、その道を窮(きわ)めた人のこと。私はまだまだ未熟で当てはまらないとの思いがあるのではないでしょうか。
私はそのようには考えません。設計者は多くの場合、組織で仕事を行います。初心者もいればベテランもいる。もちろん、誰も入社してすぐにベテランの域にはない。しかし、初心者は初心者なりに役割を果たさねばなりません。それぞれの経験や立場に相応(ふさわ)しい役割を担い、その役割の中で最大限持てる力を発揮せねばならないのです。
組織の全員が持てる力を最大限発揮すれば、困難と思える課題でも結果が出るでしょう。結果を出せれば、組織の全員が信念を持って突き進み、夢を実現するプロであったといえるのです。
すなわち、プロフェッショナルとは「持てる力を最大限に発揮し続ける人」のこと、筆者はそう考えます。こうした人が集まった組織は、どれほど困難な条件でも、乗り越えていくのです。
この連載の「設計力」を一言で表現すると、設計段階を「やりきる力」のことです。今迄取り上げてきましたが、「競合に勝つ目標値を設定」し、「技術課題を突破」します。「品質第一主義」、「コストへこだわり」、「納期厳守」を掲げ、まい進するのです。
そのためには、全員がそれぞれの立場で持てる力を最大限に発揮し続けねばなりません。全員がプロフェッショナルとしての思いを持たねばならないのです。
連休でリフレッシュされた今、プロフェッショナルとして取り組んで来たか、それを目指していたか、一度振り返ってみてはいかかでしょうか。
ー以上ー
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