「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

第三十三回  部品メーカーこそ提案型の設計を

-顧客からの図面へ「気づき」を返す

 

提案型の設計については第25回のこの欄で取り上げました。それは顧客の立場に立って「真のニーズ」を見極め、新たな製品や部品を提案することでした。しかし、部品メーカーの中には「大変な取り組みだ、出来るかな」との思われる方もみえるでしょう。

今回は、提案型の設計でも、もっと身近で直ぐにできる取り組みを紹介します。それは、顧客から受け取る図面に「気づきを返す」ということです。

筆者の経験です。図面が描けたので部品メーカーに声をかけ、打ち合わせました。図面を広げ「お願いしたいのはこのような部品です」と説明し、意見や指摘が聞けるかと待ったのです。返ってきたのは「早速持ち帰り製作にかかります。ありがとう御座いました」。

設計者の私は、その描いた図面に自信がなかった。加工が出来るのか、寸法公差は厳しすぎないかなど、心配な箇所がいくつかあった。そこで、部品メーカーに要素技術のプロとしての意見を聞きたかったのです。この寸法の公差は狭く選別が必要とか、このプレスRはもう少し大きくしないと割れが生じやすい、変形を防ぐにはリブが必要などの「気づき」を返してもらおうと、打ち合わせに臨んだのです。

しっかりと指摘があれば、このメーカーは頼りになる、次回もこのメーカーに声をかけようと思いました。逆に、ありがとう御座いましただけでは、次回は別のメーカーにしようという気になったりしたのです。

設計者が部品メーカーと打ち合わせるのは、要素技術のプロとしての意見を期待するからです。顧客との打ち合わせの場では、部品メーカーは受け取る図面に積極的に意見を言い、気づきを顧客へ返す。これが大切な提案型の仕事なのです。

そうは言っても、「顧客が作成した図面に、部品メーカーが指摘できる余地があるのか?」。

答えは、「しっかりあります」。

なぜなら、「図面は全社で描く」だからです。第31回で取り上げましたが、こうでした。図面は設計以外に、生産技術、生産、品質、材料、調達、企画など関係する全ての部門の総知・総力を注ぎ込んで、「まっとうな図面」となる。もちろん、要素技術の専門部品メーカーにも教えを請わねばまっとうな図面は描けないのです。

顧客から受け取る図面に対し、要素技術の専門メーカーとして気づきを返せば、むやみに高い設備を導入したり、全数選別のようなこともなくせるでしょう。もちろん図面のレベルも上がります。部品メーカーと顧客共に、ハッピーです。

部品メーカーこそ、提案型の設計を心がけてください。

ー以上ー

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