「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

第三十八回 設計者へエール

- 仕事は準備が8割 一歩一歩愚直に

 

先週ある企業で、設計部署へ配属された新入社員へ研修を行った。コロナ禍オンラインで行ったが、若さが伝わってきた。今回は設計部署に配属された新人の皆様へエール。それは「急がば回れ」。

その心は、仕事は「準備が8割」です。職場にある設計手順を、一歩一歩「愚直」に取り組んで欲しい。そうすれば、ひと段落したとき気づきます。最短の取り組みであったと。

とにもかくにも取りかかり、走りながら考えようでも、うまくいくことはあるでしょう。しかし、多くの場合、2倍、ひょっとすると3倍と多くの工数を費やすことに陥るのです。

筆者の入社当時の経験です。設計部署での業務は試験実験でした。試験にかけた製品をのこぎりで分解。来る日も来る日も実験室でのこぎりと格闘しました。のこぎりの歯を無理に引くと、パキッ。歯の替えを受け取りに、備品を揃えている窓口へ行くのですが、場所が離れていて時間がかかった。分解したものを並べ、先輩に見て下さいというタイミングが遅れました。予備の歯を準備さえしていたなら、予定通り見てもらえたのです。

もう一つ、準備不足で、もっともっと苦労した経験です。振動試験機(振動で製品が壊れないか評価する設備)を使ったときのこと。最初は先輩について、そのうち自分一人となった。先輩と一緒の時は分かったつもりが、いざ一人となると、分からないことだらけに愕然(がくぜん)としました。昨日のように思い出します。

なんとかなると始めました。ところが、振動試験機に製品を取り付ける治具が合わず、ボルト用の穴を追加しないといけなかった。加工部署の方に頼み込んで穴が開き、よしこれでと勇んで取り付けようとした。なんと用意したボルトが短すぎた。ボルト一本見つけるのに、実験室のあちこちさがし歩いたのです。

やっとのことで取り付け、さあデータ取りと意気込みました。しかし計測機の扱いでまたまた七転八倒。今はデジタル化が進んでいますが、当時はアナログ方式で、キャリブレーション(較正)だけでも手順が複雑で、やっても、やってもうまくいかなかった。マニュアルが分厚く、おっとり刀で読んでも理解が深まらず、ほとほと困り果ててしまったのです。

まさに、事前準備を怠(おこた)り、陥るべくしておちいったのです。取りかかる前に、治具の準備が必要なことは分かっていたのですが、なんとかなるだろう。計測器の扱いが難しそうだが、これもなんとかなるだろう。結果として、任された業務の質はおろか、約束した期日も間に合わなかったのです。

設計部署に配属される皆さん 仕事は準備が8割です。

ー以上ー

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