「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

回  デザインレビューは気づきの場

         ―検討・議論と決裁の場は区別

 

「デザインレビュー(DR)をやって良かったと思うには—」と、しばしば問いかけられます。筆者は「そのため、この場にお越し頂きました」、と一日の研修をスタートします。一筋縄ではいかないのがDRです。今回はDRの「役割」と「特に気をつけたいこと」を取り上げます。

まずDRの役割、2つあります。「気づきの場」と「総智・総力を注ぐ場」です。設計者は100%やり遂げたと思いがちです。ところが実際には、「過去の失敗事例の振り返りに抜けがある」「設計変更時に他部品への影響の検討を忘れてしまっている」「加工できるか現場の意見を聞いていない」・・といった具合です。

従ってDRの場は、設計者からの「全ての課題をクリアしたつもりだが抜けはないだろうか」「この課題を一生懸命検討してきたがすっきりしない」「この点をどうしても詰め切れない」といった問いかけに、問題点や解決の糸口を見出さねばなりません。気づきが必要です。DRは「気づきの場」なのです。

もちろん、気づきは容易ではありません。設計、品質保証、生産技術、生産・・などの出席者が、それぞれの部門のプロとして意見を戦わせ、議論を深めることが大切です。参加者全員が知恵を総動員すれば気づきが生まれます。DRは「総智・総力を注ぐ場」なのです。

更に、このように取り組むに際し、気をつけねばならないことがあります。それは、DRは「検討・議論の場」です。「決裁の場」とは区別します。DRの典型的な様子はこうです。出席したメンバーの中で最上位の職制の社員が一方的に発言し、設計担当者が冷や汗をかきながら平謝り。そして、他の参加者は押し黙ったまま、早く終わらないかと傍観している──。

これは単なる上司への報告と決裁の場です。技術的に深みのある議論ができないため、顕在化している(詰め切れていない)課題であってもなかなか解決に導くことができないし、ましてや、潜在的な(検討抜けの)課題への気付きに至らないことは言うまでもありません。総智・総力を注ぐという役割が果たせないのです。

もちろん、決裁は必要です。DRでしっかり議論し、その後に行う決裁会議で、気づきの処置結果も含め決裁を受けます。

もう一つ気をつけたいこと。DRをこのタイミングに済まさなければ次のステップに進めない。そこで、なんとか穏便に終わらせようとしてしまう。DRの「形骸化」です。これでは、気づきは生まれようがありません。

次回は、形骸化に陥らない取り組みついてです。

 ー以上ー

 

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