「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

回 課題解決の「99%」は、まだ「五合目」

    -残り1~2%の課題へ設計工数の50%を

 

前回は、「設計者」は「まっとうな図面」を出さねばならない、でした。まっとうとは、お客様満足度100%ということです。

多くの設計者(あなた)は、「お客様満足度100%なんて、入社以来さんざん聞いてきた。耳にタコができる」。だが、この「100%」には2つの見方があることに気付いていますか。「消費者の立場での100%」と「生産者の立場での100%」です。

人は消費者と生産者を行き来します。平日の仕事では生産者でも、週末になると消費者の立場になることはしばしば。例えば、購入したばかりのクルマのボディーに少しでも傷があると、ディーラーに一言。そうした人も、平日は生産者です。「こんなに夜遅くまで頑張っているのだから、これぐらいの傷は問題ない」。そう判断する場合もあるのではないでしょうか。生産者の立場での100%は容易ではないのです。しっかり意識して取り組まねばなりません。

設計段階に携わるあなたは、「設計者として100%」を目指すことが大切です。以下のようなことです。

設計段階の仕事は、まず計画を立てます。設計課題を抽出しスケジュールを決めます。製品や部品の新規性によって課題の数や難易度は異なりますが、とにもかくにも、立てたスケジュールに従って設計を進めます。

設計課題の解決は、一般に時間軸に対して「S」字形カーブを描きます。最初は課題の対処に少し手間取っても、大部分の課題は時間とともに設計処置が取られます。ところが、通常は1、2個の課題が残るものです。設計的に詰め切れないし、いくら頑張ってもすっきりしない。こうした経験のある設計者は少なくないはずです。

私の経験です。2年間の設計期間があり、最初の1年でほとんどの課題をつぶしたのですが、課題が1つ残りました。その残った1個の課題を何とかしようと、後半の1年間、毎日のように夜遅くまで取り組みました。それでも、出図期限ぎりぎりまでもつれ込んだのです。

こうした苦境に陥った時こそ、あなたには「設計者としての100%」を目指して欲しい。「部品点数が増えても仕方がない」とか、「体格が1㎜ほど大きくなるがやむを得ない」とか、「品質的に問題ないとは言い切れないが、滅多なことはないだろう」は、お客様満足度100%の放棄です。課題解決に向かって正面突破を目指して欲しいのです。

こういうことです。設計は課題の最後の1~2%を詰めるのに、膨大な工数とエネルギーが必要なのです。ここに設計工数の50%を投じると言っても過言ではありません。あくまでも100%を目指し取り組むか、それとも妥協するかは、天と地ほどの差があります。99%の課題解決は、まだ5合目なのだから。

ー以上ー

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