「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

第十一回 競合メーカーに勝つ設計目標値

     -Q・C・Dは定量的根拠を踏まえる

 

今回は、競合メーカーに勝つには「設計目標値」を決める段階に負荷をかける、を取り上げます。

「この目標コストではお客様に満足いただけない」「この性能はA社に後れをとる」など、設計の途中で目標値を見直すことはないでしょうか。

設計の途中で目標値を変えると、投入した工数や開発費がムダになりかねません。時間も取り戻すことはできません。目標値の変更は大きな「手戻り」です。一旦決めた目標値は変えないこと、これが鉄則です。

それには、目標値決めに「フロントローディング」してください。設計のスタート段階に目標値決めを行い、そこに工数をかけるということです。

決める目標値は3つあります。「Q(品質)」「C(コスト)」「D(納期)」です。これらの目標値の変更を引き起こさないためには、設定した根拠が明確でなければなりません。明確とは、根拠が「定量的」ということです。具体的には、「お客様の要求仕様」や「自社既存品の仕様」、更に「競合メーカーの仕様」を定量的に把握します。

筆者も経験しました。目標値が「お客様に買っていただける値か」「他社に負けない値か」と繰り返し問われ、設計をスタート出来ないことが一度や二度ではありませんでした。

ここで、目標コストを決める事例を紹介します。研修で、私が受講者に「競合メーカーのコストが100円とすれば、いくらを目標値にしますか」と質問。すると、多くの受講者は「90円にします」。更に「競合メーカーは1年後に89円で出してくる可能性もあります。現在の値に勝つだけで良いのでしょうか」と尋ねると、ほとんどの受講者は返答に窮します。

コストの設定は「時間軸」を取り入れねばならないのです。自動車部品を例に挙げます。多くの場合、車に搭載されると次のモデルチェンジまで使われるでしょう。しかし、競合メーカーが低コストなものを出してくると、早く寿命を終える可能性が高まります。

では、「コストの優位性を4年間確保するためには?」。答えは「競合メーカーの4年後のコストを予測する」です。 予測するには、競合メーカーの部品を過去の分まで含め精査し、見積ます。得られた値を、縦軸にコスト・横軸に時間(年)をとったグラフにプロットし、コスト推移の概想カーブ(コストカーブ)を描きます。グラフが示す4年後の値が目標コストを決める根拠です。もちろん、この方法は簡単ではありませんし、労力も時間も要します。だけれども、競合に勝つには設計目標値決めにフロントローディングする、大切です。

ー以上ー

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