「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十二回 設計と製造は適度な「緊張感」を

ー互いを「高めあう」 スパイラルアップ

 

設計から「図面を出す日になったが、もう少し待って」、製造から「この寸法は加工が難しい、公差を広げて」、よく出会う風景。この投げかけに、どのように答えますか?

「できないものは仕方がない」は、馴れ合いと言い訳に終始する職場へ直行です。あなたには、次のように返して欲しい。「最大限頑張ったのか」と。設計と製造が、なぜできなかったかを納得するまで議論できる職場は、互いに足りないところを補完し、日程の遅れや技術上の問題点を乗り越えていきます。

筆者の経験です。赤字を垂れ流している製品がありました。改善が見通せなかったので、コストダウンタイプを投入し挽回することが決定されたのです。

赤字は、組み付けにくい設計にありました。なぜそうなったのでしょうか。この連載の第8回で取り上げた「図面は全社で描く」が定着していなかったのです。全社で描くとは、設計だけでなく、製造(生産技術・生産)、品質、調達など関係する部門の総知・総力を注ぎ込んで、初めて「まっとうな図面」となる、でした。

赤字は、当時設計者であった筆者が図面を唯我独尊で書いた結果、成るべくしてなったのです。この失敗を振り返り、コストダウンタイプの開発は、スタートから製造とチームを組みました。

開発が始まると早速、設計と製造のせめぎ合いとなりました。設計が「良い構造」だと判断しても、製造から見れば「非常に造りづらい構造」であったりしました。逆に、製造が組み付けやすさを優先すると、コストの高い設計になったりしたものです。それでも、安易に妥協することなく議論を重ねました。切磋琢磨することで、課題を突破していったのです。

設計と製造のあるべき関係は、こうです。図面は、決められた日に製造へ渡さねばならなりません。出図日を踏まえ、その後の工程準備など生産開始までの日程が決まっているからです。だけれども、設計課題がなかなか解決せず出図が遅れる場合もあるでしょう。製造へ頭を下げ了解を得ねばならなりません。一度は叱責を受けても、製造が一丸となって取り組み、日程の挽回を行います。逆に、加工が難しく「2ランクアップ」の工夫がないと造れない図面を出す場合は、設計の説明に製造が納得すれば、全力で取り組み達成します。

つまるところ、製造から設計への指摘、設計から製造への指摘は「緊張感」を持って行わねばならないのです。 適度な緊張感を持った取り組みを通し、設計と製造は互いに「全循環的なスパイラルアップ」をもたらします。お互いを「高めあう」のです。

ー以上ー

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