「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十四回 在宅設計者の心得

-生産現場へ足を運ぶべし

 

コロナウイルスが勢いを増す中、緊急事態宣言が出された。弊社の取引先は製造業も多いが、在宅勤務です。設計も在宅勤務ありきで、取り組まねばなりません。

前回は、在宅勤務で「これぐらいでよいだろう」の罠(わな)に陥りやすい、6つの設計業務を取り上げました。お客様の真のニーズの把握やデザインレビューなどでした。今回は、「在宅勤務」でも設計者の「あなた」は、社内の関係者、特に生産現場の仲間と「心が通い合って」いますかを取り上げます。

第8回で図面は「全社で描く」。生産技術や生産など関係者の総智・総力を注ぎ込んでやっと「まっとうな図面となる」と述べました。生産現場の班長やリーダーの知見や知恵が入ると質が上がるのです。

知恵をもらうには、生産現場の班長とコミュニケーションをとり、心を通わせねばなりません。入社間もない頃の筆者の経験です。描いた図面について意見を聞こうと生産現場に行きました。そばへ行って声を掛けると、班長はぱっと横を向いて他の人と話を始め、いくら待ってもこちらを向いてくれないのです。生産現場のことを知らない若造だと見抜かれ、設計者としては全く認めてもらえなかったのです。なかなかつらいものがあったのですが、めげずに足しげく生産現場に通って勉強しました。

そうして2~3年がたった頃、ようやく「ウエルカム、待っていたよ」となったのです。「ここが問題だ。設計変更すると不良が減る」「この寸法公差を5μm広げてほしい。抜き取り検査を減らせる」など、要望やアドバイスが途切れない。なかなか帰れなくなったほどです。図面の質が上がったのは言うまでもありません。

当時、生産現場の班長は職人気質の人が多かったように思います。直接会って話し合うと気心が知れ、コミュニケーションが円滑になりました。「一緒に頑張ろう」との思いが醸成されたのです。今も、設計者であるあなたと生産現場の班長のありようは同じでしょう。

筆者の経験から「在宅勤務の課題」が見えてきます。設計のスタート段階から設計と品質・生産技術・生産など関係者が「チームで活動」することが大切です。しかし、チームで活動しさえすれば図面の質が上がるというのは大きな錯覚です。筆者の経験がまさに物語っていますが、その活動を通し、「設計者のあなたと一緒にがんばろう」と関係者全員に思ってもらうことが大切なのです。

在宅設計者の課題はこうです。あなたは生産現場の班長とコミュニケーションをとり、心を通わせねばならないのです。在宅勤務を言い訳に、生産現場から足が遠のいてはいけないのです。

あなたには在宅勤務でも、「一緒に頑張ろう」と生産現場から思ってもらえる設計者であってほしいのです。

ー以上ー

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です