「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十五回 品質不具合は技術だけでは防げない

-技術は必要条件だが、管理や仕組みが重要

 

「品質不具合は、技術さえあれば防げる?」。設計者のあなたには「いいえ」と答えて欲しい。

昨年12月6日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰還。「りゅうぐう」の石や砂を持ち帰りました。りゅうぐうは地球から3億kmのかなたにある、直径が900mぐらいの岩の塊です。科学技術の進歩はここまで来ています。今や「ものづくり」はできないことがないと思うほどです。

一方、仕事柄、いわゆる量産品の設計者と意見交換する機会が多くあり、「10年前と比べて、品質不具合は減っていますか」と聞くのですが、良くなっているとの返答は少ないのです。同じものづくりでも量産品の品質不具合はなかなか無くならない。何故なのでしょうか。

この連載「第2回なぜ不具合は起きる」では、「自然はだませない」、これが設計の「普遍的な課題」を取り上げました。理論に背いた設計は、市場から品質不具合というしっぺ返しを受けるということでした。

このことは、小惑星探査機であろうと、量産品であろうと同じです。科学技術の進歩は、この普遍的な課題を少なからず解いてきました。その成果(以下、技術的な知見)をしっかりと取り込むことで、今回の小惑星探査が可能になったとも言えます。ところが、量産品は趣を異にします。実は、量産品は「技術的な知見の取り込み」が難しいのです。なぜ難しいのでしょうか。

 はやぶさ2は石の採取を、当初予定していた2018年10月から2019年2月に延期しています。その間に、課題を徹底的に洗い出してシミュレーションを行うなど、慎重を期して準備を進めたと伝えられています。

ところが、量産品は「納期が命(厳守)」です。たっぷりと時間をかけることはできません。おまけに、人、もの、金(経営資源)をふんだんに投入するわけにはいかないのです。

技術的な知見を取り込むとは、「個人や職場に潜在的にある技術(以下、技術)を顕在化させ、品質不具合を防ぐ」ことでもあります。これを量産品は限られた時間と経営資源の下で行わねばならないのです。やぶさ2とは、制約条件が大きく異なります。

設計者に聞くと、「技術があれば何とかなる」と言う人が少なくないのです。「技術があることと、それを活かすことは異なる」、と気付かないのです。

こういうことです。厳しい制約条件の下では、技術は「必要条件だが、十分条件とはなり得ない」のです。しっかり認識せねばなりません。技術を顕在化させ品質不具合防止に結び付ける管理や仕組みが必要なのです。

実は、その管理や仕組みが、この連載で取り上げている「設計力」なのです。

ー以上ー

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