「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十六回 設計の役割

-ニーズの聞き込みから図面を後工程へ渡すまで

 

自動車部品メーカーで設計を担当していたときの経験です。顧客の自動車メーカーから、「雨の降り方に応じワイパースピードが自動で変わるシステムを搭載したい。主要部品となるセンサーを開発して欲しい」と声をかけられました。そのセンサーで雨がパラパラ降っているのか、ジャージャーなのかを判断するのです。

当時、社内にはそのようなセンサーはありませんでした。一から開発しなければならない状況でしたが、「はい、検討します」と回答しました。このようにして「設計の仕事」が始まりました。

そうなのです。設計の第一歩は「顧客のニーズ」を聞くことなのです。顧客が求めるものを把握する、設計者の仕事です。

その後次のような取り組みをしました。開発する価値があるかを検討しています。このシステムは欧州で使われ始めていたので、その状況を調査しました。分かったのは、天候が変わりやすく、かつ制限速度のない道路もあることなど。ワイパーの動きを自動化すると、安全性と利便性の点で将来性がある、売れると判断しました。

「技術課題」がありました。雨の降り方を検出する方法でした。幾つかの手法の長所短所を比較検討し、赤外線の反射を利用する方式を選びました。

技術のめどが付いたので、設計を進めました。設計の狙い「目標値」を決めたのです。性能のレベルや、いくらで造ろうかなどです。

次に構造などを決める「構想設計」、強度の見極めや寸法公差を詰めるいわゆる「詳細設計」を行い、試しにものを造りました。「試作品」です。

続いて、試作品の「評価」です。大変だったのは、ワイパーの動きが運転者の感性(フィーリング)に合っているかの評価でした。雨が降る中を走行して評価しました。普段は「今日も雨か、晴れたらよいのに・・」と思うのですが、いざ評価する段になると、評価にふさわしい雨は降らず、1カ月があっという間に過ぎていきました。台風の予報が出ると、台風がやってくる場所を目指して車を飛ばして、台風の中を評価。その車両は北米が重要な市場であったため、現地でも評価を重ねました。

このような、さまざまな取り組みをクリアした後、図面を次の工程「生産準備」の担当部署へ渡しました。

「設計の役割」は、顧客のニーズの聞き込みから始まり、図面を次の工程に渡すまでです。その間に、目標値の設定、技術課題のめど付け、構想設計、詳細設計、試作品の評価を行います。全ての設計職場に通じる設計の基本です。この流れを意識しながら取り組むことが大切です。

ー以上ー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です