「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十七回 品質の80%を決めるもの

-図面は情報の伝達手段、間違いがあってはならない

 

前回は、筆者の経験「顧客ニーズの聞きこみから始まり、図面を次の工程に渡すまで」を紹介しました。今回は、設計者のあなたに取り組んで欲しい、三つの「役割」を取り上げます。

一つ目の役割。顧客にとっての「うれしさ」を知ることです。なぜなら、顧客はそのうれしさに対価を支払うからです。このうれしさを「商品仕様」と言います。

商品仕様は自動車部品では、例えば自動車メーカーがその部品に求める機能・性能、美しさなどです。筆者も経験しましたが、顧客が求める商品仕様を正しく把握するのは容易ではありません。見極めるまで顧客とキャッチボールする、大切な役割です。

二つ目の役割は、商品仕様を、あなた(サプライヤー)の立場の仕様への置き換えです。「製品仕様」と言います。「品質(Q)」「コスト(C)」と「納入時期(D)」で表します。

Qは自動車部品では、車両メーカーから提示された必要な仕様を定量化し、使われ方や市場環境を考慮し、安全率や余裕度を加味します。顧客からの必要条件に十分な条件を加えるのです。いくらで造ろうか、どのような日程で進めようかも、根拠を踏まえ定量化せねばなりません。

三つ目の役割は、Q・C・Dを達成するための方法・手順・構造・材質などを明らかにします。その情報を表したものが「図面」です。あなたは図面という「伝達手段」で、情報を製造現場へ送るのです。その役割を果たさねばなりません。ところが大きな課題があります。

こういうことです。図面を受け取った製造現場は「現場力」で、図面に書かれた情報を100%製品や部品に置き換えます。そのため、情報に誤りがあると、誤った情報に基づいて加工され、結果として誤った情報にもとづいたものが造られます。

例えば、スイッチの接点の使用回数を 1万回以上と設定した場合、接点の図面へ1 万回では壊れない接点材料や接点形状を書き込みます。ところが、誤って、1000 回で導通不良となる接点形状を図面に書くと、1000 回で不具合を起こすことになります。

製造現場は、図面の通り加工すれば良品と信じ取り組みます。そう信じて作業している現場の人達に、壊れるものを造らせることになってしまうのです。

そうなのです。大きな課題とは、「図面に誤った情報があってはならない」ということです。絶対に不備や抜けがあってはならないのです。

設計者のあなたに特に伝えたいこと。それはQや Cは図面の出来栄えが大きく影響するということです。あなたの取り組みが「品質とコストの 80% を決定する」という思いをしっかり持って欲しいのです。

―以上

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です