「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

十八回 「優位性」と「信頼」が基本

―競合メーカーに勝ち、繰り返し受注する

 

設計者のあなたは、「競合メーカーに勝つ」設計と「繰り返し受注する」設計を区別できていますか。

前者は製品や部品の競合メーカーへの「優位性」を確保する設計の取り組み、後者は顧客の「信頼」を得る取り組みです。

優位性は、競合メーカーに品質(性能・機能・・)やコストで勝ることです。信頼とは、顧客に「あの企業は品質不具合を出さない、安心して任せてよい」と思ってもらうことです。性能やコストで勝れば受注の可能性が、不具合を出さなければ「繰り返し」受注できる可能性が、高まります。

まず、優位性を確保する取り組み。設計のポイントは2つです。1つ目は、競合メーカーに勝つ性能やコストの目標値を決めます。「このコストではA社に後れをとる」と、設計の途中で目標値を変えたことはないでしょうか。その経験は、「勝つ目標値を決めないと勝てない」という当たり前のことを、あらためて気づかせてくれます。それでは決めるのはいつか、それは走りながらではなく、設計のスタート段階です。心がけてください。決め方の具体例は「第11回競合メーカーに勝つ設計目標値」で取り上げました。

2つ目のポイントは、技術課題の目途付けです。筆者の経験では、勝つ目標値は、職場の基盤技術だけでは直ぐに対応策が見つからない課題が必ずあります。目標値が持つ技術課題を突破する、まさに技術の勝負です。

このようにして優位性が確保できると次は、顧客の信頼を得る取り組みです。ここでは品質不具合を出さない取り組みをひたすら行います。「100万個造っても1個たりとも品質不具合を出さない」設計です。具体的には「第16回設計の役割」で取り上げた、詳細設計と試作品の評価をやり抜きます。そうすれば、不備や抜けがない、品質不具合とは縁のない図面を次の工程へ渡すことが出来るでしょう。やり抜く方法は? それがこの連載で毎回取り上げている内容「設計力」です。

以上をまとめると、優位性を確保する設計と信頼を得る設計は異なります。優位性は、「設計目標値の設定」と「技術課題の目途付け」をやりきります。一方、信頼は、「一個も不具合を出さない取り組み」、いわゆる「120%の品質を達成する取り組み」をやり抜かねばなりません。

実はこの一連の取り組みが、職場の技術力の向上につながるのです。それぞれをやりきることで職場にノウハウが残ります。職場の基盤技術が少し上がるのです。次は少しレベルの高い設計ができます。これを「愚直」に繰り返せば次第に技術力が高まり、より高機能・複雑な製品を手掛けられるようになります。

ー以上ー

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