「設計力®」とはやりきる力 【毎水曜掲載】

㈱ワールドテック 寺倉修

第二十一回 設計者はルールを守る

-手順を飛ばすのは市場不具合を許すこと

 

仕事柄、設計担当者からしばしば次のような相談を受けます。「忙しくて、職場で決まっている設計プロセス(手順)をこなすことができない。何か良い方法はないですか」と。こう聞いてくる人は「忙しければ、手順を飛ばすしかないですね」という回答を期待しているような気がします。しかし、私の答えは決まっている。「設計手順は職場のルールです。やるしかありません」。

実は、私も設計を担当していた時に、デザンレビュー(議論の場)や、決裁の場をパスしたかったのは一度や二度ではありませんでした。だが、そんなことは許されなかったのです。

なぜ、設計手順の逸脱は許されないのでしょうか。それは手順を1つでも行わないと、品質不具合の発生を是とすることになるからです。

こう言うことです。それぞれの企業に現在ある設計手順は、品質不具合などの失敗経験から得られた教訓を仕事の仕組みに落とし込み、これを創業以来延々と繰り返すことで得られたものです。多くの先達の継続的な改善の結果なのです。従って、今の手順が十分なものであるかどうかは、さておき(これからも見直していくということ)、必要な手順であることに違いはありません。

従って、上司や会社のトップが設計手順の逸脱を黙認すれば、それはすなわち「品質不具合が発生しても仕方ない」という意思表示したことになるのです。現実には、そのようなことを意思表示するトップはいないでしょう。設計者も市場不具合を出さないという思いで取り組んでいるはずです。従って、手順は何があろうと守る。それが唯一、最善の方法なのです。

もちろん、設計手順をルール通り行うのは、掛け声だけでできるものではありません。私の経験です。部品の図面を次の工程へ渡す(出図)時期が迫り、夜遅く帰る日が続いている時に限って、市場で品質不具合が発生しました。待ったなし、全力で取り組むことになるのですが、一方、本来の設計業務が遅れることは許されません。遅れれば後工程に多大な迷惑を掛け、納入先メーカーに影響が及ぶこともあり得ます。当時を振り返ると、不具合対応が大変でも、設計手順をなんとか乗り越えました。設計室の中で他の製品を担当しているグループから設計者を一時的にシフトしたり、四苦八苦しながら全員の力で乗り切ったものです。

忙しさを言い訳に、設計手順がうやむやになっていないか。その結果として、市場不具合発生を是とした選択を行っていないか、一度振り返ることが大切です。

ー以上ー

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